S.S.D.Lab News

卒業生からのレターを公開しました.

お知らせ

柿崎・遠藤研究室(サステナブルシステムズデザインラボ)の修士を終え、現在ノーベル賞受賞者を多数輩出している米国のテキサス大学オースチン校機械工学科のWeber ラボでPhD取得に向け、研究している Kaz nagasawa から 学生諸君への激励便りをもらいました.
有給のリサーチアシスタントというポジションにも恵まれ、元気にやっているようです. これから大学へ進学する高校生の皆さん、また大学院進学や留学を考えている学生諸君にも参考になるかと思い、本人の許可を得てここに掲載させていただきます.

SSDLの皆さんへ

 テキサス大学オースティン校の博士後期課程に在籍している永澤です。福島県の郡山市が地元で、2013年にSSラボで修士課程を修了しました。今回、特別に記事を書かせていただける機会をいただいたので、近況報告とSSラボでの経験がアメリカの大学院においてどのように活かされているかを交えて書き進めたいと思います。今年度の学部4年生や3年生(ゼミ生)の中には、卒業後の進路として大学院進学も考えているのではないのでしょうか。そのような学生に少しでも私の声が届けば良いなと思っています。
 近況報告として特筆すべきことは、昨年末に「クオル」と呼ばれる試験に合格できたことです。クオルは博士課程を終えるための基礎知識を有しているかを判定する試験で、筆記試験と口頭試験からなり、私の学科では合格率は50%程度と言われています。2度の受験が認められていますが、続けて不合格になるとそれ以上博士課程に在籍することができずに退学となる厳しい試験で、私の友人も数人不合格のために今学期で大学を去って行きます。私が受験したInterdisciplinary
Qualifying Exam(学際的適正試験)は試験科目が「熱力学」「確率論」「線形計画法」から構成されていて、熱流体システム専攻とオペレーションズリサーチ専攻を掛け合わせたような試験でした。慣れ親しんだ科目ではなかったのですが、SSラボに在籍していた時から学科や専攻に縛られずに「サステナブル・システム・デザイン」という壮大な研究目標に対し、電子回路の設計から配線、機械加工、プログラミングそして実装と、自分の専門または強みを活かしながらも、専門外のことにも果敢に挑戦してきたバイタリティが、困難を打開する切り口になりました。他にも、学生・先生・企業の方とのコミュニケーションや研究プロジェクトのマネジメントも、国際色豊かなアメリカにおいて、友人との信頼関係を構築し、想定される問題を洗い出して事前に相談するなど、今回の試験の合格に繋がった要因であると考えられます。アメリカの工学系の大学院で博士を取ろうとすると、一般的にはクオル、プロポーザル、そしてディフェンスという関門が待ち受けています。現在は、次のプロポーザルにパスするために、腰を据えて研究を進めているところです。
 授業や研究で大変なことも多々あるのですが、できるだけ空き時間を作って友人と遊んでいます。今年の春休みには8日間(内車中泊2日)に渡るロードトリップで、ザイオン国立公園を始め、グランドキャニオン、アンテロープキャニオン、ホワイトサンズなど、アメリカの大自然を満喫してきました。オースティンからザイオン国立公園までは、休憩を含めて約24時間かかります。狭い車の中でも、テキサス州北西部のウィンドファーム、シェールガス開発に伴うフレアリング、そしてアメリカの広大な大地と移り変わる景色を友人と一緒に見て話し合いながら過ごせたひと時は、充実した時間でした。私の誕生日がちょうど旅行中にあり、その日はみんなでグランドキャニオンをハイキングし、くたくたに疲れているにも関わらずレストランで誕生日会を開いてくれ、キャンプサイトに戻ってからはキャンプファイヤーを囲んで夜遅くまでお酒を飲むなど、忘れられない誕生日になりました。SSラボで大学院生活を過ごしていたときも、仲間とロードバイクでサイクリングやバーベキュー、学会を兼ねての観光など、同じ辛さを経験した仲間と同時に楽しい時間を過ごす中で、上手く心と体のバランスを取ることができていました。一人だけではなく、周りに頼れる仲間がいることはとても大切で、そのような環境が整っているSSラボでの経験は今でも良い思い出となっています。
 SSラボでは昼夜問わず3Dプリンタが動いていたり、最近ではハッカソンというイベントが開催されています。また、地域に貢献する活動(まちなか子ども夢駅伝競走大会など)を通して、大学の講義室では学べないことに触れる機会があります。早い段階から先生方に大学院への進学の相談をし、自分の適正に合わせた研究テーマをディスカッションして決めると、学部4年から修士を修了するまでの3年間は刺激に満ち溢れたものになります。環境そして自分自身の変化を、自分の目と耳、そして肌で捜して気づいていくプロセスは、ここSSラボで修士課程を過ごす一つの醍醐味であると思います。オープンラボなどを利用するのはもちろんですが、SSラボを尋ねるといつも大学院生が熱心に研究しています。進学に関して不安がある人もそうでない人も、まずは大学院生と話をすることでSSラボの環境に身を置き、自分の感性に問いかけてみてはいかがでしょうか。成功だけではなく時には失敗もすることもあると思いますが、そこで挑戦した経験は卒業・修了してから自信を持って行動する指針になると思います。私が現在アメリカの大学院に在籍して様々なことに挑戦できているのは、これまでに先生方やSSラボの卒業・修了生に多大な協力をしていただいたおかげです。今回の記事がこれからのSSラボをリードしていく学生の挑戦へのきっかけに少しでもなれば幸いです。有意義な学生生活になるよう期待しています。
永澤和憲